中東、 サウジアラビア と聞くとみなさんどんなイメージがありますか?
砂漠、石油、ラクダ、男性が着ているアノ白い服はなんだっけ?
それ以外はどうでしょうか?
これまでの定例会で、ドバイやクウェートといった中東諸国についてお話ししてきたように、中東といっても様々な国があり、それぞれの歴史や文化があります。
そんなサウジアラビアに、日本製の繊維などを輸出している和光株式会社の大西専務をお招きし、同国の実情についてお話し頂きました。
<定例会概要>
【日時】2019年11月28日(木曜)19:00〜20:30
【会場】サンテカフェ(3te’Cafe’)
大阪市中央区西心斎橋1丁目10−17
ポポロビル2階【定員】20名(先着順)
【参加費】3,000円(税込)
【講師プロフィール】
大西啓介
和光株式会社 専務取締役
2006年大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。在学中はスペイン語専攻。アンダルシア地方の文化に興味を持ち、その頃に初めてイスラム文化に触れる。大学卒業後、アルバイトを転々としながらのバンド活動時代を経て、和光株式会社へ入社。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、パキスタンといったイスラム圏を中心に日本製品の輸出販売を手がける。現地コネクションを用いて一次情報を獲得し、市場参入のアドバイスおよびコンサルティングにも力を入れている。
【主催】
一般社団法人 関西ムスリムインバウンド推進協議会
激変する サウジアラビア
サウジアラビアはイスラム教発祥の地であり厳格なイスラム教義を国の根幹としている国です。その為、欧州の文化と異なる特殊な文化を持っている事が有名です。
上記に加え日本では歴史的な関りが少なかった事とメディアからの伝わる印象が先行してしまう部分もあり、以下のようなイメージを抱く方も多いのが実情です。
そんなイメージのサウジアラビアですが、実はここ数年劇的な変化が起こっています。
その一つに女性の立場。サウジアラビアでは女性が家族以外の男性との関りを持つ事や社会的な行動に一定の制限が存在する文化で有名でしたが近年それが劇的に変化しています。
世界で唯一女性の自動車運転が禁じられていたのを2018年に政府が解禁した事は大きな衝撃を持って世界中で報じられました。
実際現地でもこれまでではありえなかった価値観の変化が急速に起こっているそうです。下の写真は大西氏が撮影したジェッタという都市での様子。以前までは家族以外の男性と交流する事に障りが多かった同国とは考えられない程、オープンに交流が出来る雰囲気に変化しているようです。
交流が自由になる事から派生して都市の雰囲気にも変化が起こっており、今までは少なかった開放的なおしゃれなカフェなども続々と増えてきています。
2019年11月に行われた「サウジアニメエキスポ」も今までのサウジアラビアでは考えられなかったイベントですが4万人が熱狂する大盛況ぶり。
その他にも多くの変化が起こっているのですが
「なぜサウジアラビアは今変わろうとしているのか?」
これにはサウジアラビアが掲げている「ビジョン2030」という経済改革計画が大きく影響しています。
これまでのサウジアラビアの経済の大部分は石油の輸出に頼っていましたが、このままでは行き詰まりが予測される事から石油依存型経済の脱却を目指し、投資収益に基づく国家を建設していくことを目標としたものが「ビジョン2030」です。その為には様々な現在の体制をグローバル基準に近づけていく事が必然となった事が大改革の背景にあります。
その変化の流れとサウジアラビアの文化を理解する事がビジネスを行う上で大切であると大西氏は強調されています。
質疑応答
今回の質疑応答では「輸出について」「文化の変化に対する同国の国民意識について」「ビザ解禁に伴う現地の旅行産業の変化について」「生活様式の変化について」「日本のインバウンド事業を行う上での参考点について」などかなり専門的な質問が続出しました。それらに的確に経験を元に回答される大西氏の内容に参加者の満足度も高かったように感じます。
最後に
大きな変化の波にあるサウジアラビア。日本も少子高齢化、グローバル化、観光立国化など大きな変化の流れの中にあり、両国がお互いを意識し今後より一層の結びつきが予想されます。インバウンドの現場でもサウジアラビアのお客様を接客する場面が増えてきたという声も今回の定例会の参加者からありました。ムスリムインバウンドを行う上でサウジアラビアの今後の変化についてしっかりと理解をしておく事が大切です。今回の定例会ではそんなサウジアラビアの変化について現場最前線の情報を学ぶ事が出来た良い機会でした。
ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。