毎年4月にアラブ首長国連邦ドバイで開催される Arabian Travel Market (アラビアントラベルマーケット)。
4日間の会期で、世界から約4万人以上が集まる、中東最大の旅行博覧会です。
今年は4/22-25の開催でしたが、初日から3日間、弊会代表理事の梶川が参加してきました。
2018年5月度の定例会は
①アラビアントラベルマーケット 2018 の報告
②ドバイでのハラールに関する認識
③ドバイでの日本の認識
をメインに弊会代表の梶川がお話させて頂きました。
アラビアントラベルマーケットの報告
参加目的
今回の アラビアントラベルマーケット への参加目的は、
1. 大阪観光局と相談して作成した事業者向けアンケートを配布・回答をもらうこと。
2. 神戸観光局、大阪観光局からお預かりしたパンフレットによる観光のPR
3. 中東事業者に日本への関心、自国の旅行事情を直接ヒアリング
などでした。
梶川個人的な関心事としては「中東ではハラール認証についてどう考えているのか?」だったそうです。
アンケート採取方法
梶川は2017年のアラビアントラベルマーケットにも参加しており、その時は日本ブースで来場者の話を聞く事が多かったそうですが、今年は敢えて日本ブースで待つのではなく外のブース・・・特に中東エリアの出展ブースを中心にアンケートを取る事にしたそうです。
理由は
日本ブースに来られる外国人
=元々日本に興味がある
=去年体験済。梶川自身は旅行業ではないのでよりリアルな現地の声が今年は欲しい。中東エリアの出展ブースにいる外国人
=日本に興味があるのかどうかは未知数
=現地でのよりリアルな日本の評価を知ることが出来る。
と考えたからです。
アンケートは全部で14問に及ぶ超大作でしたのでかる~く「書いてね~」では当然絶対書いてくれません。
着物を着てブースに飛び込み、大学時代に学んだアラビア語で相手の警戒感を解き、まずは世間話から入り、席に座り腰を落ち着けお茶とお菓子をいただきながら相手の話を一通り聞いた上で
「実はちょっとアンケートがあるんですがお願いできないですか?」
と時間をかけてやっと答えてもらえたそうです。(一人あたり約30分~1時間は話し込んだそうです。)
その分、アンケート項目にはない内容も含めてしっかりと話が聞けたそうです。
アンケートの採取が出来た人の国(出身国ではなく現在働いている国)はアラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト、アゼルバイジャン、サウジアラビア、クウェート、イランなどでした。(主に旅行会社、ホテルなど観光関連の業界の方。)
首から提げているストラップでどういった立場なのかやどこの国の人か、どんなお仕事をされているのかなどがわかる為、聞きたい人を狙い撃ちでアタックしたそうです・・・(汗)
主なアンケート内容の結果発表
- 人気の旅行先は?(3ヶ所まで)
- どうやって渡航先の情報を得ているのか?(旅行全般)
- 日本への関心、日本への送客経験
- どうやって日本の情報を得ているか?
- 日本への旅行にあたり心配なこと
- 日本で興味があること
- 日本のイメージ
色々と聞いた14問の内、特に気になるこちらの7つの項目について結果を発表させて頂きました。
実際に聞いてみないとわからない事が沢山あるといった印象で、メディアや親日家の方だけの情報と実際の現場での感覚には随分と温度差があり、それらをしっかりと理解しておかないと経営戦略を見誤ってしまう恐れもあると考えさせられました。
関西の観光PR
アンケートを取りながら痛切に感じた事は、日本の中東向けのPRが圧倒的に不足しているという事だったそうです。
梶川も微力ながら当初の目的である関西エリアのPRをしっかりとしてまいりましたが想像していた以上に知られていなかったそうです。
「日本? あ~、トヨタとNISSANね! それは知っている。技術力と伝統のある国ってイメージかな。 え、 日本のどこの観光地に興味があるかって? ちなみにどこがあるの? え? どこそこ?」
ってな感覚だったそうです(泣)。
しかしそれはお互い様かもしれませんね。日本人もドバイ、UAEの事をどれだけ知っているかと聞かれると似たようなものではないかなと感じます。ドバイの治安の良さ、利便性の良さ、観光スポットを知らない人も結構いるのではないでしょうか?
継続したお互いの相互理解が必要ですね。
現地でのハラールに関する事
会期中はイベントが終了するとその足でドバイのスーパーやモール巡り。気になっていたハラール認証がどうなっているのかの調査をひたすら行い、気になった内容を翌日イベント中にアンケートを取りながらヒアリングするという繰り返しを行っていたそうです。
見えてきたのは生活する人の大半がムスリムである国とそうではない国とのハラール認証に対する受け止め方の違いでした。
「ハラール認証って何だそれ?」
こちらの質問に対してこの質問で返される場合が非常に多かったのには驚きです。
総括
総括としてATMを通じて感じた中で、我々がいま出来る持続性のある行動についてお話させて頂きました。
大きく分けては以下の二つです。
■ムスリムに対する理解と受入体制の整備
→ 中東に限らずムスリムの方をおもてなしする上で必須事項ですね。■中東に向けた継続的なPR
→ 色々な方法や規模はありますがどれも継続的な取り組みが必要です。個人で出来る方法についてもお話させて頂きました。特に中東の方には特有の気質があると梶川は感じている為、個人レベルでのPRの重要性をお話させて頂きました。
今回の定例会にご参加いただいたエミレーツ航空会社 西日本支店 田中和久 支店長さまからも「ドバイから日本へのインバウンドに対する障壁となっているもの」や「ドバイの人の旅行の仕方」、「現地での食のハラールに関しての意識」などについてご自身の経験値に基づくお話をお伺いする事が出来ました。
過去の歴史から日本と縁遠かった中東諸国。しかし移動手段やインターネットの発達によりボーダーレスのグローバル時代に突入しています。これからは今までよく知らなかった国の人との距離が加速度的に近くなっていく事は明白です。
インバウンドが叫ばれる今日ではありますが、自国の事を知ってもらいたいと思うのであれば、それと同様に相手の国、文化、人を知る事も大切なのではないでしょうか?
お互いを尊重しながら理解を深めていく事が出来れば、本当の意味で親しい国同士となれると感じます。
まずは小さくてもひとつひとつ行動する所から始められてはいかがでしょうか?
当日ご参加いただきました皆様、お忙しい中本当にありがとうございました。