毎年4月にアラブ首長国連邦ドバイで開催されるArabian Travel Market。4/28から5/1の4日間の会期で、世界から約4万人以上が集まる中東最大の旅行博覧会です。
そのArabian Travel Marketに、弊会代表理事の梶川が参加してまいりました。
実は、弊会発足から2年連続、個人としては3年連続の参加になります!
大学時代にアラビア語を専攻していた彼女としては、「アナザースカイ」なのかもしれませんね。
今年の来場の目的は、
昨年、大阪観光局と相談して作成した事業者向けアンケートをさらに深掘りし、現地の旅行事業者に、日本への旅行の関心や予算などの具体的な情報を収集することにあります。
灼熱のドバイで着物を着て、得意の?アラビア語でコミュニケーションをとって集めた、生の情報になります。
- 中東における、旅行先としての日本の知名度とは?
- 日本以外の人気の旅行先は?
- 日本に来た時に期待することは?
- ハラル認証やムスリムフレンドリーは実際どのくらい気にするのか?
など、現地で聞かないとわからない情報を、みなさまにお届けいたしました。
目次
アラビアントラベルマーケット2019 「中東旅行会社の本音」
ドバイ基本情報
アラビアントラベルマーケット2019(以下、ATM2019)の報告の前に、まずはドバイの基本情報をおさらいさせていただきました。「ドバイ」というフワフワしたイメージだけではいけませんので、実際どんな所でどういう文化や歴史があるのかといった情報をご紹介させていただきました。
皆さん、上の資料の○○をきちんと埋めれましたでしょうか?
ドバイ→石油→富裕層→何でも買う
なんて想像は絶対にしないでください。
最後の「ドバイでビジネスをする為に必要なこと」については会期前に去年知り合ったドバイ生まれドバイ育ちの方とマンツーマンでお会いする事が出来、ぶっちゃけ話でお聞きしてきた内容ですが、一度でもドバイでビジネスを本気で考えられた事がある方にとっては基本中の基本の話です。
ATM2019
今年はインドネシアの広告が凄いですね…(汗)会場入り口のこの面積の広告枠を購入するとは気合入ってますね。
ここ数年の動きですが、インドネシアだけではなく東南アジア勢の攻勢が勢いを増しています。今年は中国が非常に広いブース面積で出展していました。
こういった東南アジアとの競争を日本も戦っていかなければなりません。中東の旅行市場は既に群雄割拠の戦国時代です。
ここで日本の過去4年間のブースの様子の歴史を見てみましょう。
2016年
2016年は関西ムスリムインバウンド推進協議会としては参加しておりませんでしたが、副代表の野村が掛軸屋として出展しておりましたので会場の様子の資料はこちらになります。
数年前から京都が独自で中東へのPRに力を入れていた流れで、2016年までの中では過去最高のブースの装飾でした。この年には北海道も共同で初出展。
2017年
この年は弊会は2017年に行いましたムスリムインバウンドEXPO 2017 in 大阪のPRに参加。この年は初めてJINTOも参加。去年よりもさらにパワーアップした日本ブースとなりました。
2018年
2018年は弊会は大阪観光局依頼のアンケート調査を行う為に参加いたしました。
去年までと違い、JNTOは参加せず、京都市・札幌市合同ブースと東京都ブースに分かれるというちょっとペースダウンした印象を受けた年でした。去年がこういう状況でしたので、今年の2019年がどうなるか…正直不安でしたが…
2019年
見事に復活!!!(良かった…)
JINTOも再び参加し、過去最高のブースでした。
今回出展された事業者はこちらです。
旅行会社やホテルなど観光産業の出展事業者も多かったです。
実は近年中東での日本への言及が結構増えています。(※注 旅行先として大人気で入れ食い状態とかいう話ではないです。)
京都から始まり、長い年月をかけて地道にプロモーションをかけてきた事が少しずつではありますが形となって表れてきたといえると思います。
ATM2019のセミナーではなんと初めて「HALAL TOURISM SUCCESS STORIES」に日本が登壇しました!!
何事も地道な積み重ねが大切ですね。(2016年ではこんな風になるとは想像出来ませんでした。)
JINTOは今後も継続して参加を予定されているそうです。
アラビアントラベルマーケット2019 ミッション
さて、ATM2019での弊会のミッションですが…まだ公表できない物も多いのですが、ひとつに昨年行った「日本に対するイメージ」や「日本で興味ある事」のアンケート調査をさらに深堀して調査してまいりました。昨年の結果を振り返りながらお話しさせていただきました。
その上で今年はさらに具体的に日本のイメージ調査を行うべく、下記の資料を見せながら反応をうかがってまいりました。
どれも日本を代表する観光コンテンツです。果たして皆さんの反応はどうだったのでしょうか?
結果は
「日本では○○○だと認識されているものなのに×××だった。」
「う~ん、認識はしているけど微妙に中途半端だったり違っていたり…」
「お!意外にこれは知っている!?」
「残念ながら全く反応なし…というか写真見せても「ナニコレ?」と言われた物も…」
といった感じでした。最も惹きがなかった残念賞は○○○○でした。( ノД`)シクシク…
全体的にやはり
まだまだPR不足
といった印象でした。
しかし決して負のイメージではなく、少しずつではありますが興味を持っている人が増えているのも肌感で感じる事が出来ました。個人的な感覚ですが、何か一つ楔を打ち込むことが出来、スマッシュヒットで日本を印象付ける事が出来れば日本に流れが来る可能性は十分にあるのではないかと感じました。
それを裏付けるように、昨年までは「日本の旅行会社と取引している」と言っても具体的な名前が出てこなかった中東の旅行会社から具体的に日本の旅行会社の名前を複数聞く事が出来ました。実際に名前が出た日本の旅行会社は3社…日本を代表する大手旅行会社JTB、HISと中東市場にいち早く取組を始めた草分け的な存在であるアヤベックス。中東の旅行会社から日本の具体的な旅行会社の名前が聞けるようになったのは大きな変化だと思います。
また、今回の定例会の前に、エミレーツ航空西日本支社長の田中様からお伺いしたドバイからの訪日客の動きについてのお話からもこの可能性は十分にあると考えられます。
対応策
近い将来起こりうる現実に向けて、我々は今何を準備して取り組んでおくべきなのかについてATM2019のセミナーでも触れられていた内容を基にご説明させていただきました。
01の「ハラール」と「ムスリムフレンドリ―」の使い分けはとても重要です。昨今日本でもこの使い分けについてはセンシティブになってきましたがそれくらい注意して備えておくくらいで良いという感覚を受けました。誤解を与えてしまう恐れがありますので注意が必要です。
02に関してはこれからの旅行トレンドを作る世代の定義をしっかりと理解し、その世代の行動パターンを把握する事がとても大切です。
03はドバイを含む中東もここ数年でどんどん変化をしています。02の世代が作り出すトレンドを意識しながらインバウンドのサービスを準備していく事も大切です。
まとめ
中東の旅行市場の情勢はここ2~3年の間でも変化をしています。日本への風も少しずつではありますが毎年参加していると吹いてきているのを感じます。ただまだまだ日本の事を知ってもらう為のPR努力は行う必要があるように感じます。それと同時に我々も中東の国々の文化や歴史、マーケットなどについて知る事も大切です。(ひとくくりに中東と言っても国々で全く違う文化を持っています。)お互いの相互理解を進めていく事が来るべき近未来への準備として最も大切な事ではないでしょうか?
今回お忙しい中、ご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。