日本に来られるイスラム教徒(ムスリム)の方のお困りごとのトップは食事です。
豚肉とアルコールの摂取を避けることはよく知られていますが、それらを含むもの、例えば醤油やみりん(醸造過程でアルコールが発生すると言われているため)、ショートケーキやゼリー(ショートニングやゼラチンに豚由来成分が含まれることがあるため)を食べられない方もいるほどです。
最近でこそ、豚由来やアルコールを抜いた醤油などの調味料や料理も増えてきましたが、まだまだ種類が限られているのが現状です。
そうした状況を憂い、弁当やケータリングをムスリムの方でも楽しめるように始めたのが、今回の講師、南海ケータリングサービス株式会社の榮本信子社長です。
【講師プロフィール】
南海ケータリングサービス株式会社
代表取締役社長
榮本信子 氏
平成元年、株式会社南海グリルのケータリング部門から独立。当初は経理面のサポートのみであったが、平成20年に当時の代表であったご主人様が急逝し、後を引き継ぐことに。
店舗を持たず、宴席や慶事、パーティーなどのケータリングに特化。
セントラルキッチンでコックが料理を作り、現地に届けることができるフルオーダー対応が可能。海外アーティストが参加する大規模な音楽フェス等のようなイベントも多数受注。
そんな中、宗教や食の禁忌を持つ人との関わりから、”食の多様化”を進め、ハラル認証も取得。
同社は、もともと株式会社南海グリルのケータリング部門から独立開業され、現在は独自資本、黒字決算を続けています。
店舗を持たない、宴席や慶事、パーティーなどの ケータリング を主業務としており、大規模な音楽フェスやイベントだけにとどまらず、それに出演する海外アーティストの食事も一手に提供しています。
そんな榮本社長がムスリムに関わるようになったきっかけや思いとは?
また、ムスリム対応による補助金はどのように取得するに至ったのか?
ムスリムへの思いだけでなく、ムスリム対応におけるビジネスについてもお話いただきました。
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【日時】2018年10月25日(木曜)19:00〜21:00
【会場】3te Cafe(サンテカフェ)セミナールーム
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-10-17 ポポロビル 2F
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目次
イスラーム基礎知識 & (株)エイジェックスコミュニケーションズについて
今回は学生の方も含めて定例会に初めてご参加の方も非常に多かったので「イスラーム、ムスリムについての基礎知識」をいつもより丁寧にお話させていただきました。それにあわせて弊会発足の経緯や今までの活動、実績などのご報告、今年の関西におけるムスリムインバウンドの動きのおさらいをさせていただきました。
続いて弊会の協力会社である(株)エイジェックスコミュニケーションズの事業の一部を坂本氏よりご紹介していただきました。
こちらの会社が運営されているSharing Kyotoは外国人向けに京都の情報を色々な角度から見やすくスタイリッシュにご紹介しているメディアサイト。取材に基づく詳細な情報記事が人気で多くのビューワーを持っているのが特徴です。このSharing Kyotoにてムスリム向けの京都のレストラン情報の記事を作成する際に弊会もご協力させていただいたのがご縁で、その後さまざまな協業を行っております。
南海ケータリングサービス(株) / ハラール弁当・ ケータリング 事業における補助金獲得と食の安全について
南海ケータリングサービス(株) は創業30周年を迎える飲食のケータリングサービスを専門とする会社です。主に出張宴会パーティーを最も得意とし、会場に出向きホテル宴会そのままに、会場設営からパーティー宴会料理まで、一貫して提供しているのが特徴です。お客様のニーズに合わせ、プランを立てられるので、ふたつと同じ形の宴会はなく、メニューに至るまですべてが手作りで対応出来るのが強み。
また、オリジナルのビュッフェスタイルケータリングは、コンサート会場の楽屋食が弁当で対応するのが主流の中、機材を持ち込み温かいお食事は温かく、冷たいお食事はより冷たい状態でお届けし、お客さま各自で好きな物を取り分けてお食事をして頂けます。このビュッフェスタイルは見た目や香りからもお客様の食欲を掻き立てる事から、公演者の方々に大変喜で頂いているそうです。
過去のケータリング実績例
世界フィギュア、日本女子プロゴルフ選手権大会、世界バレー、マイナビABCゴルフ、女子サッカーINAC神戸、全日本陸上選手権、etc
ムスリム対応
今後の食の多様性を求められるケースが増える事を考え、ムスリムへの対応として2016年3月にHALAL認証を取得。インバウンドで来日される外国人向けに、企業・大学等、ニーズに即応する形で、他社にないお弁当と、ビュッフェスタイル初のハラール食を提供しています。
FOODPICT
今後はハラール食だけではなく、菜食主義のべジタリアン、動物性食材を一切取らないビーガン、小麦アレルギー食のグルテンフリー等、アレルギー食にも対応する中で、食べられない食材、食べてはいけない食品が一目で判るように『フードピクトグラム』を2017年4月よりネクストダイバシティ(株)の指導の下、採用開始。
ものづくり補助金
昨今の食の衛生管理は大変難しいそうで病原菌の除菌や殺菌は飲食関係者にとっては大きな課題です。アルコール殺菌だけでは万全ではないらしく、さまざまな対応が事業者に求められているのが現状のようです。
今回、南海ケータリングサービス(株)は新たな機器の導入を食の安全強化、業務効率改善とあわせてムスリム対応についても役立てる事が出来るとしものづくり補助金に申請し、見事に採用されました。(しかも申請内容はご自身で考えられたそうです。)
この機器の導入経緯、それによる期待できる効果などを具体的にお話いただきました。
今後の取り組み
榮本社長によると飲食業界の先行きの見通しは、決して楽観視出来るものではないそうです。特に小規模事業者は二極化を迫られる時代がもう差し迫っている状況。その中で南海ケータリンサービス(株)は自社が目指すべき将来像を見据え、今回の補助金によって導入した新たな機器を活用しながら更なるレベルアップに取り組んでいるとの事。
特に、一昨年からインバウンド需要(ハラール食・ベジタリアン・ビーガン・グルテンフリー)が伸びる中、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピックに向け、スポーツイベントの依頼が同社にも増えてきているそうです。今後の同社の活躍が非常に楽しみですね。
当日ご参加くださいました皆様、本当にありがとうございました。