改正入管法 インバウンド

どうなる!? 改正入管法 。インバウンドにおける外国人雇用の今後

現在日本では多くの業界で人手不足が深刻な問題となっています。右肩上がりに訪日外国人が増え、好調であるインバウンドにおいても同様に人手不足に悩む事業者が多く見られます。

既に多くの報道がなされていますが、今年4月より 改正入管法 が施行され、新たな在留資格「特定技能」が運用されることになりました。これにより今まで外国人材の雇用が難しかった業態でも雇用できる可能性が高まっています。

特に外食や宿泊事業でも特定技能の雇用が可能となったことはインバウンド事業に関わる方にとっても大きな影響があることでしょう。

今回は外食、宿泊、小売事業を対象に、現状の在留制度での雇用の可能性と、新たに始まる在留資格「特定技能」での雇用について、入管業務に携わっている行政書士である弊会代表理事の梶川がお話しさせていただきました。

また外食では食品衛生法の改正によりHACCPに沿った衛生管理も求められますが、こちらについてもお話しさせていただきました。

 

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【日時】2019年3月19日(火曜)19:00〜21:00

【会場】大阪市立総合生涯学習センター 第3研修室
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-500 大阪駅前第2ビル5・6階

【定員】30名(先着順)

【参加費】2,000円(税込)

【講師プロフィール】

 

 

 

 

 

梶川 佐穂子

行政書士梶川法務事務所代表・申請取次行政書士

一社)関西ムスリムインバウンド推進協議会 代表理事

大阪外国語大学卒業(アラビア語専攻)

2013年行政書士登録し独立開業。

現在は入管業務を中心とした許認可業務を取り扱う。

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講義スタート

 

当日は以下の大きな流れでお話をさせていただきました。

①現在の在留制度

②特定技能

③外国人雇用の注意点

④HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

 

現在の在留制度

入管法改正により新たな在留資格「特定技能」が始まりますが、現行の在留制度が無くなるわけではありません。

まずは現在の在留制度について説明させていただきました。それぞれの活動目的に応じた在留資格が付与されます。

「就労」という面で考えた時に重要になってくるのが「就労制限があるかないか」です。

「就労不可」の場合はアルバイトもダメなのできちんとどのタイプなのかを理解する事が重要になります。

留学生は就労不可ですが「資格外活動」という許可を取れば一定の時間制限の中であればアルバイト可能になるようです。(なるほど…コンビニなどで働いている留学生はこういった場合が多いのか・・・)

一口に外国人を雇用するといっても何でもOKなわけではなく様々な条件をクリアしなければいけないというのを具体例と共にご紹介いただきました。

 

改正入管法 -特定技能-

2019年4月から新しい在留資格である「特定技能」が新設されます。特定技能が創設されると、これまでは外国人が働くことが難しかった建設業界や造船業界、宿泊業界、外食産業などを含む14の業種で、外国人が働くことができるようになります。これにより働き手の人材不足の問題を解消しようという狙いがあるようです。

特定技能は1号、2号に分かれていて、1号は分野別技能試験日本語能力試験に合格する事が必要です。将来的には優れた技能を持つ人材を2号と認定していくという構造になります。

ただし現段階では14の全ての業種で2号に移行できるわけではありません。

 

特定技能1号と2号の大きな違いは、1号が通算5年までしか日本にいられないのに対して、2号には日本滞在の期間に制限が無いという点です。

また、1号は日本に家族を連れてくることはできません。これに対し2号は要件を満たせば本国から家族(配偶者と子供)を日本に連れてくることができます。

 

雇用の機会が広がるので人材不足の企業にとってはありがたいのですが、受け入れる側である雇用主もしっかりとした対応が求められるようになります。雇用側が整えなければならない体制が以下の表に記されている項目です。

 

この項目をご覧になられて

「げっ!? こんなにたくさんの事を全部自社でやらないといけないなんて無理…」

と困られている方もいらっしゃると思いますがご安心ください。上記の項目の自社でできない部分を代わりにサポートしてくれる「登録支援機関」と呼ばれる機関がありますのでそちらに相談し、上記項目を実施すれば問題ありません。

 

外国人雇用の注意点

受け入れの幅が広がる中で予想されるトラブル・・・

ここで梶川から外国人を雇用する上で必ず注意しなければいけない点を紹介させていただきました。

当たり前中の当たり前ですが、在留カードは必ず雇用を決める前に確認しましょう。

不法就労は外国人本人だけでなく雇用主に対しても罰則がありますので必ず労働関係の法令を守って雇用し、労働条件は事前にしっかりと話し合いましょう。

 

HACCPの考え方を取り入れた衛生管理

改正入管法にて外食産業でも外国人の受け入れが拡大する事が予想されます。

国際化の流れの中で外食産業では食品衛生法の改正によりHACCPに沿った衛生管理も求められているので今回は梶川の方からHACCPについてもご説明させていただきました。

「HACCPってよく聞くけどなんだかとっても大変そう…」

こんなイメージを持っていましたが、基本的な考え方としては各業界団体が作成する手引書を参考に、簡略化されたアプローチによる衛生管理を行うようです。

基本的に求められるのは食中毒を予防する為に、きちんと衛生管理をしてそれを「見える化」する事を徹底する事だそうです。

 

衛生管理をしっかりと実施する為にもしっかりとした「衛生管理計画」を立てる事が必要となってきます。

 

総括

改正入管法

人口減による深刻な働き手不足は既に各業界で発生しています。

その問題を打開する為に施行される改正入管法。

まだまだ情報がすべて出揃っているわけではなく、制度としても今後現場の声と刷り合せながら調整されていく部分が多くあると思いますが今後の労働市場や日本経済を考える上で外国人の働き手がますます重要な役割を担ってくる事は間違いありません。

引き続き弊会の方でも最新の情報収集に努め、寄せられるご相談にも対応させていただこうと思いますので、外国人雇用や改正入管法などについてお困りの際は是非ご相談ください。

 

今回の定例会にご参加いただきました皆様、本当にありがとうございました。

 

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