シェアリング京都 Sharing Kyoto

Sharing Kyoto

近年日本を訪れる外国人の数は急増し続け、特に関西にも多くの外国人が訪れるようになりました。実際、大阪や京都の観光地では、日々さまざまな国籍・言語の外国人客の姿を目にします。

それに伴って施設や店舗を利用されるお客様の多様化も進み、もともと日本人向けのサービスを提供されている施設でも、外国人に来店して満足していただくことが一層重要になっています。

ではこのような「多様性の時代」において、お客様の来店や受入を推進するためにどのような対策が必要になるのでしょうか?

今回は、口コミを利用した旅マエから旅アトまでの一貫施策によって、「多様性の時代」におけるインバウンド対応を実現する株式会社エイジェックスコミュニケーションズの坂本豪士様を講師にお招きしました。

 

同社は訪日外国人向けの観光メディア「 Sharing Kyoto 」の運営と、外国人の受入から集客までのサポートサービスを提供している京都の企業で、関西を中心に様々な企業のインバウンド対応を支援してきました。

 

これまで訪日外国人ユーザー・関西の事業者双方を通じてインバウンドに携わってきた経験から、これからの時代に向けてどのようなインバウンド施策が必要になってくるのか、坂本氏の想いや考えをお伝えいただきました。

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【日時】2019年2月14日(木)19:00〜20:30

【会場】大阪市立生涯学習センター 第7研修室
〒530-0001 大阪市北区梅田1-2-2-500
大阪駅前第2ビル5・6階
http://osakademanabu.com/umeda/access

【定員】30名(先着順)

【参加費】2,000円(税込)

【講師プロフィール】

株式会社エイジェックスコミュニケーションズ
インバウンドマーケティング支援 マネージャー
坂本豪士 氏

インバウンドに携わる新規事業部が同社で設立されて間もないころから、事業部ディレクターとして活躍。インバウンド対策として集客やプロモーションが重視される風潮がある中で、外国人客の受け入れ体制の強化に重点を置いた施策を推進。これまで外国人へのおもてなしや集客対策に悩む企業へのコンサルティングを担当。その企業に合ったサービスを提供している。

これまで外国人へのおもてなしや集客対策に悩む企業へのコンサルティングを担当。某電鉄会社における台湾人向けプロモーションから世界遺産の寺社仏閣におけるインバウンド向けサイト制作、京都を中心とした飲食店・小売店への外国人観光客受け入れ体制の支援まで、その企業に合ったサービスを提供している。

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(株)エイジェックスコミュニケーションズ

(株)エイジェックスコミュニケーションズ(以下、同社)は京都に本社を置く設立約20年の会社。110名の社員が働いており、社員の平均年齢は32.5歳とフレッシュな会社です。高いIT技術を武器に大規模なECサイトの企画~開発~運用を手がけており、そこから派生してネットビジネスのコンサルティングを行うようになりました。そんな中、2013年に訪日外国人数が1,000万人を突破してからは右肩上がりとなるインバウンド需要に対応すべく、コンサルティングやIT技術をインバウンド向けに用いてサポートする部署を立ち上げサービスを開始したのが始まりだそうです。

 

京都のコアな情報を外国人向けに紹介するメディア「 Sharing Kyoto 」

インバウンドサポートの武器となるのが外国人に影響力のあるメディア。外国人が欲しい情報を掲載する事により検索されるようになり影響力が増し、そのメディアを見て外国人が実際の行動を起こすというサイクルにまで力をつけたのが同社が運営している「Sharing Kyoto」というサイト。京都に絞ったメディアですが、その分他社には出来ない京都のコアな情報を発信しています。しかも自分たちが体験したものだけを掲載するというこだわりがあり、よりビューワー目線に近い形で記事を紹介しているのが特徴です。

 

京都のハラールレストラン特集の記事

そんなSharing Kyotoにある京都のハラールレストランの特集記事。1年ほど前に弊会もご協力させていただきお店の取材などを行いリリースされた記事ですが、その後のアクセス状況などの分析結果を発表していただきました。

 

記事へのアクセス地点の割合をグラフに表したデータが下の写真です。要するに「どの地点から記事が見られているか? = どこで情報収集をされているか?」がわかるグラフとなります。データを紐解く事で対策も変わってくるので貴重なデータです。

一部資料の内容を伏せさせていただいております。

 

PV(ページビューワー数=その記事の閲覧者数)の変化。右肩上がりなのはわかりますが、着目すべきところはその伸び率。

一部資料の内容を伏せさせていただいております。

通常記事をリリースしてから一般に認知されたりするまでに多少の期間が必要なので、それがグラフ左側のリリース間もない頃の数字だと考えるとそれ以降急速にアクセスが集まっている事がわかります。取材に基づく京都のハラールレストランに関するコアな情報を詳細にまとめている記事はここだけであり、さらにレビューも書けるというビューワー参加型のサイトなので今後のアクセス数増加も予想されます。

京都に特化したハラールレストランに関するビッグデータなどの問い合わせは是非 同社までお問い合わせください。

 

「多様性の時代」とこれからのインバウンド対応について

「ムスリム」・・・今までの日本では馴染みのなかった言葉ですがここ数年注目が集まっています。それはまさに日本がこれから迎えようとしている「多様性の時代」の始まりといえます。今後はよりグローバルな時代となり新しい価値観や文化に対応をしていく時代となります。

坂本氏は

『日本が「観光立国」を目指すと表明し、インバウンドに力を入れ始めてからの歴史はまだまだ浅いですがその変化のスピードは急速であり、今後世界に名立たる観光大国になるのも時間の問題です。』

と自論を展開し、それを裏付けるデータや自身が年末年始に訪れたイギリス・ロンドンでの視察状況を踏まえてお話くださいました。

 

イギリスの食事情がガラリッ!? ロンドンの世界都市への変貌

坂本氏がイギリスを訪れたのは今回で3回目。今回訪れた中で最も衝撃を受けたのはロンドン市街の食事情の変貌だったそうです。以前訪れた印象とは全く異なり、多種多様の料理店が出揃いクオリティの高い味に驚いたそうです。和食のお店も多く、今までのイギリスの外食のイメージが一気に塗り替えられたそうです。ここまで大きな変貌を遂げたのは恐らくあるイベントをきっかけに多様化が進んだ結果ではないかとの事です。

ほんの数年間でここまでの変貌を遂げ、一気に世界都市となったロンドン。日本もこれからの数年で劇的に変化する可能性は十分にあるそうです。それは今後「世界都市」に成長すると考えられている都市が「大阪」「京都」と二つもあり、すでに世界都市である東京と併せると一ヶ国に3つも存在する事になります。

「世界都市」の特徴

タイプ別 世界都市

 

今後日本が世界の観光大国ベスト10に入り、一気に国際化が進む可能性は十分にあるとの事です。

 

一貫施策とクチコミの重要性

クチコミの重要性

今後大阪、京都の未来の姿として考えられる「世界都市」では、多種多様な国籍や性別、年齢、信条を持つ方がお客様となります。坂本氏はその中で世界共通の観光サービスについての有力な情報源となるのはクチコミとし、自社で手がけるプロモーションに取り入れているそうです。

外国人は日本人と比べて自身が体験した情報をネットやSNSなどで発信し、それをシェアして拡散していくクチコミ力が非常に高いと坂本氏は自身の経験からお話くださいました。弊会でもムスリムにおけるSNSでのクチコミ情報の拡散力については確認済みなのでインバウンド全体においてプロモーションをする上でクチコミは不可欠な存在といえそうです。

クチコミの評価を高める・増やす為の一貫した3ステップ

坂本氏が大切にしているのは「クチコミを増やす為には必ずステップを踏む事」。上の写真の通り、まず①おもてなしレベルの向上、次に②クチコミ投稿の促進、最後に③プロモーションによる来店促進の順番が大切だそうです。

坂本氏が請け負うインバウンドのクライアントの中で本当によくある失敗例というのが

「インバウンドのプロモーションとか何とか言って、インフルエンサーさんとかモデルさんとか呼んで格好良い動画作ってお店の宣伝をするようコンサル屋さんが言ってその通りやったんです。来店とかは一時的には伸びるんですけどすぐまた落ちちゃうんです。毎回毎回そんな多額な費用使ってプロモーションとか出来ないしどうしたら良いですかね?」

上記のようなパターン。これは典型的な失敗パターンのようですがこれは先ほどの順番で言うと③にあたり、①、②を飛び越えていきなり③をしても一時的な効果しか発揮できない事が多いようです。

まず①のおもてなしレベルの向上・・・つまりクチコミをする為にもお店に魅力がなければいけません。「何を魅力とするか? または 何を魅力になるまでブラッシュアップするか?」「どうやってブラッシュアップするか?」「どうそれを伝えるか?」「お客様にどう感動をしてもらうか?」「お店の利便性はどうか?」「スタッフの教育はしっかりと行われているか?」「お店としての世界観やコンセプトは明確に表現され、お客様に感じていただける工夫はされているか?」・・・などお店自体がクチコミをしてもらう為のレベルアップをしないと誰も自分から良い情報を他人に伝えようとは考えません。③のプロモーションはプロにお金さえ払えば多少おもてなしレベルが低くても上手く編集してそれらしく見せてくれますが、実際の現場でのお客様までは誤魔化せません。クチコミやリピーター化につながらない為、一過性の効果でしかないようです。

同社が大切しているのは、様々な幅広いプロモーションの経験からクライアントのサービスの魅力がクチコミレベルに達するまで様々な角度からサポートする事。自社で補えない部分に関しては他の協力企業に依頼してでもお店の魅力向上を目指す程、徹底しているようです。

①のおもてなしレベルがしっかりと向上し、いつお客様が来ていただいても万全の受け入れ体制が整った後は、お客様がクチコミを書いてくれる為の設定づくりです。王道はTripAdvisorとGoogle。その他必要に応じてクチコミを書き込むアプリやサービスを準備して拡散の仕組みを作っていきます。もちろん登録の仕方やどのサービスが向いているかなどコツなどがあるのでそちらのアドバイスも一貫して同社では行っております。(もちろん先ほどご紹介させていただいたSharing Kyotoでもユーザーが書き込み出来る作りにはなっているようです。)もっと凝ったクチコミのシステムを自社のHPなどで組み込んで作りたいなどのご要望も同社にご相談ください。

①、②の準備が出来上がって初めて③の認知促進活動に入っていきます。プロモーションを経て興味を持ち、お店に来店したお客様が①のおもてなしに満足し、②でクチコミを行い、それが再び③のプロモーションとなるという綺麗なサイクルが続いていくのを理想の形としています。

 

同社がこの一貫施策を用いてサポートされてきたクライアントは飲食店や化粧品会社などから誰もが知っている観光施設、インフラ産業、世界遺産寺院など多岐にわたります。クライアントによって案件や条件などその状況はひとつとして同じではありません。だからこそ同社が今まで取り組んできた色々なクライアントへのアプローチで蓄積されたノウハウが、正解を導き出す為の色々な引き出しとなるのも強みという事が出来ます。

 

総括

少子高齢化を背景に観光立国に舵を切り、2018年度の訪日外国人数は初めて3,000万人を突破と順調に伸びている日本のインバウンド市場。2025年の大阪万博を初め、世界的な国際イベントが今後関西では数多く予定されています。(詳しくは2018年11月度の定例会のまとめをどうぞ。) 坂本氏がおっしゃられるように大阪、京都が世界都市へと変貌していくのはまさにこの5~6年の間の可能性が非常に高いです。

中・韓・台、欧米、ASEAN、中東、ムスリム、ビーガン・・・インバウンドに関連した様々なターゲットや市場の切り口が存在しますが、今回坂本氏にお話いただきましたクチコミを通じてのプロモーションやその考え方は全てに共通するものです。今後ますます盛り上がる事が予想される関西のインバウンドの中で、しっかりとした順序でプロモーションを行っていく事が大切です。

今回ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。

 

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