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ムスリム人材登用セミナー 第2弾報告書
2024年6月4日、大阪にて「ムスリム人材登用セミナー 第2弾」を開催いたしました。
今回のセミナーは特にインドネシアからの人材登用を中心に、インドネシアの現状や文化、就労に関する情報を共有することを目的としています。
講師にはインドネシアで長年ビジネスを展開している鍋島祥郎氏をお招きし、鍋島氏の豊富な経験と知識を基にインドネシアの若者たちが日本で働く際のメリットや注意点について詳しく解説いただきました。
セミナーの背景と目的
近年、日本では外国人労働者の受け入れが進み、特に飲食店などの業界でフルタイムの外国人雇用が増加しています。
外国人労働者に関する制度も動いており、2019年に特定技能が始まり、最近では技能実習制度を廃止して育成就労制度を始めることが決まっています。
こうした背景からインドネシアからの人材登用が注目されており、今回のセミナーではその具体的な事例や実務に関する情報を提供することを目指しました。
インドネシアの現状と人材登用の意義
現在、在日インドネシア人の数は増加しており、2023年6月時点で122,028人と国別の在留外国人数では第7位に位置し、ムスリムが多数派を占める国の中では最も多く日本に在留しています。
インドネシアは親日国としても知られており、今後も日本に来るインドネシア人は増加すると見込まれています。
講師の鍋島氏はインドネシアでのビジネス経験を通じて、日本企業とインドネシアの人材をつなぐ活動を行ってきました。
講師紹介と講演内容
鍋島祥郎氏は、2010年にインドネシアで法人を設立し、インターンシップ事業や留学生の送り出しなど、多岐にわたる活動を行っています。
元々、教育者というキャリアから現在の事業に至るまでの様々な歩みと共に、インドネシアからの人材送り出しの歴史や実情をお話いただきました。
送り出し事業紹介
インドネシアからの人材登用の具体例
鍋島氏は、自身が手掛けたインターンシップや留学生の送り出し事例を具体的に紹介しました。鍋島氏の会社は、これまでに約1500人のインドネシア人を日本に送り出しており、その内訳は以下の通りです。
割合が多い「インターンシップ」や「留学生」の送り出しをする事になった経緯や「技術・人文・国際」をもっと増やしたい事情などを丁寧にお話しくださいました。
また、近年「留学生」の割合が激減している背景なども解説いただきました。
特定技能制度は、2019年に導入され、特定の職業分野での人手不足を補うための新しい在留資格です。
この制度によりインドネシアを含む多くの国からの労働者が、日本での就労機会を得ることが可能となりました。
鍋島氏の会社は、この制度を積極的に活用し、インドネシアからの人材を送り出しています。特定技能制度は日本の労働市場にとって重要な役割を果たしており、今後も需要が高まると見込まれています。
実績
これらの人材は、ホテル、ゴルフ場、介護・医療、レストラン、営業職、レセプション業務など、多岐にわたる業種で活躍しています。
特に、近年拡大している事業について目から鱗の大変興味深いお話をしてくださいました。
インドネシア人は何故日本で働きたいのか?
インドネシアは親日国なのですが、何故それほど日本は人気があるのかについての事情や、実際に現地で鍋島氏が受けるインドネシア人からの対応について詳しくお話しいただきました。
インドネシア人の魅力
- 親日的な態度: インドネシア人は日本に対する憧れが強く、文化的な摩擦が少ない。
- 勤勉さと柔軟性: インドネシアの若者は勤勉で真面目、柔軟に対応できる。
- 多様な業種での活躍: インドネシアの若者は日本の多くの業界で働くことを希望している。特に、ホテル、飲食、介護・医療、製造業などの職種が人気。
鍋島氏の目指す人材事業
鍋島氏は人材事業全体に関する問題点などを挙げ、自身の経営する「CONVI」では日本で働きたいというポジティブな動機を持つインドネシア人が健全に日本で活躍できるようバックアップする為、インドネシア人一人一人としっかりと向き合い事業を進めている熱い想いをお話下さいました。
インドネシア人材の採用“あるある”
鍋島氏が今まで送り出してきた1500名以上のインドネシア人を送り出してきました。
もちろん、様々なトラブルを乗り越えて現在に至ります。
セミナーでは、そんなインドネシア人材の採用に関する「あるある」話を紹介してくださいました。以下はその一部です。
- ヒジャブ問題: ヒジャブを着用する女性に対して、「仕事中は外してください」と言われることがあるが、これは非常にデリケートな問題であり、慎重な対応が必要です。
- お祈りの時間: イスラム教徒は1日に5回の祈りが必要ですが、職場での祈りの場所が用意できれば柔軟に対応する事が出来る場合が多い。
- ハラル食の提供: 食事に関する配慮として、ハラル食品の提供が求められます。特に、豚肉を含まない食事の提供が必要です。
異文化の人達と一緒に働くのであればお互いがお互いを理解しようと努め、歩み寄りながら物事を解決に導いていく事が大切と様々な経験の中から鍋島氏は感じたそうです。
質疑応答セッション
セミナーの後半では、参加者からの質疑応答が行われました。以下に、主な質問とその回答をまとめます。
- 質問1: インドネシアの若者が日本に来る最大の理由は何ですか?
- 回答: 最大の理由は、日本に対する憧れと国同士の受け入れ政策のバックアップから日本へ行く事へのルートが拡充している事が要因です。
- 質問2: コロナ後のインドネシアからの人材の動向について教えてください。
- 回答: コロナ後は特定技能制度の影響もあり、日本への人材の流れが変わりました。特定技能制度が導入されたことで、より多くのインドネシア人が直接日本で働く機会を得ています。
まとめ
今回のセミナーを通じて、インドネシアからの人材登用に関する多くの有益な情報が鍋島氏から提供されました。
外国人労働者を受け入れる際には、文化や宗教への配慮が重要であり、適切なサポート体制を整えることが求められます。
弊会では今後もこうしたセミナーを通じて、外国人労働者の受け入れに関する理解を深め、円滑な雇用環境を構築するための情報提供を行ってまいります。
当日ご参加いただきました皆様、ありがとうございました。