京都伏見警察署 ムスリムセミナー

警察は地域の安全や秩序を守り、色々な人達の困っている事の解決に尽力する組織。訪日外国人が増えるに従い、日本人のみではなく海外との方とも接触する機会が増えています。その中で今まで接した事がない国の人達の文化や習慣に戸惑う事も多くなってきているようです。

弊会にもそんな警察署からのご相談やお問い合わせが最近徐々に増えています。京都府 伏見警察署 もそのひとつで、「警察としては、今後イスラム教徒(以下、ムスリム)と接する機会は増えると予想しており、より適切に対応するため、イスラームやムスリムに関して基本的な知識を身につけたい」というご相談が寄せられました。

京都の伏見区は以前より外国人の居住が多く、全国の市区町村でトップ50に入るほどだそうです。区内には大学も日本語学校もあり、留学生の居住も多いそうです。また観光地としてもトリップアドバイザーにて4年連続「日本で人気の観光地・第一位」としてランクインしている伏見稲荷大社がある為、訪日外国人数が多いのも特徴的です。

現場でムスリムと接する機会が増えている為、警察署で署員向けに「イスラームとは?ムスリムとは?」についてのセミナーを開催して欲しいとのご要望があり、2018年7月9日に京都府伏見警察署内にて「ムスリムと接するときに知っておきたい基礎知識」と題してセミナーを実施させて頂きました。

京都府 伏見警察署 セミナー: ムスリムと接する時に知っておきたい基礎知識

京都伏見警察署セミナー

京都府伏見警察署

 

当日は朝早くから多数の方にご参加いただきました。

京都伏見警察署セミナー ムスリム

 

イスラーム基礎知識

京都伏見警察署セミナー ムスリムセミナーではまだまだ多い「イスラーム=怖い」というイメージの誤解を解くところからスタートし、一口にムスリムといっても地域や人によって多種多様である事のご説明や具体的な事例をお伝えさせて頂きました。もちろんムスリムとして共通する部分はありますが、それをきちんと理解した上で画一的な対応ではなく、個人個人のニーズに対応する事が大切です。

 

ムスリムと接する時に気をつけること

京都伏見警察署ムスリムセミナー続いてハラール、ハラームについてのご説明をさせて頂いた後、実際にムスリムと接する時に気をつける事として、異性間の接触、女性の服装、食事、礼拝、クルアーンの取り扱いについてなどについてご説明させて頂きました。特に食事に関しては日本では当たり前に出されて原材料もわかっているものでも海外の方にとっては馴染みのないものも多くあり、それが宗教上の理由で食べられるかどうかがわからず困っている人が非常に多いという事をご説明させて頂き、原材料や調理方法などの説明を出来る限りしてあげる事が大切とお伝えさせて頂きました。

食事のご相談やメニュー開発、情報開示の方法に関しましてもご相談を受け付けております。また下記のようなイベントも行っておりますのでご興味ある方はご参照下さい。

 

 

 

質疑応答

京都 伏見警察署 ムスリムセミナー

その後、署員の方からご質問を受ける時間を設けさせて頂いたのですが、なかなか鋭いご質問も多かったのでいくつかご紹介させて頂きたいと思います。

 

飲食店において「ムスリムフレンドリー」と「ハラール」の違いは?

日本では両者の明確な線引きは難しいのが現実。ただハラールかどうかは人間ではなく唯一神であるアッラーが決める事とイスラームではされているので、特にノンムスリムがこの言葉を用いる場合は配慮をする必要があると考え、安易な多用は避けるようにしている。

飲食以外、化粧品などでハラールに対応したりしているのか?

認証を取っているコスメはあるが認証にこだわる人ばかりではない。ノンアルコール・ノンアニマル、オーガニックなどの表示を見て判断する人もいれば、食事ではないのであまり気にせず使ったりしているという人もいるので人それぞれ分かれる所。

解釈の違いなどでムスリム同士けんかしたりするのか?

国や宗派が違うと、様々な違いがあるが、それでケンカをしている所はあまり見たことはない。現在 内戦状態になっているのは宗教上の違いというより政治の問題が大きいと考えられる。

礼拝はどの程度時間を使うのか?

人にもよるが、1回10~15分程度が多いのではないかと思う(経験上)。また1日5回とはいっても状況に合わせて時間をずらしたり、まとめてするなど柔軟に対応している。(もちろん5回以上する人もいる)

ムスリムと結婚すると改宗するのか?

非ムスリムが結婚する場合、改宗する事がほとんどと聞いている。 生まれてくる子供もムスリムなので、今は日本国籍を持つボーンムスリムもいる。(中には例外もあるらしい。)

 

総括

京都 伏見警察署 ムスリムセミナー

旅行者にとっても在住者にとっても警察は困った時に相談するところ。そういうところでムスリムへの接し方に関心を持っていただき、今回のようなセミナーをさせていただけた事は大変嬉しく思います。

「インバウンドを通じてのまちづくり」というのはその地域で生活をしている様々な人々が、それぞれの立場で相手を深く理解し、より良いまちを目指し活動していく事だと思います。

今後も 伏見警察署 の署員の方がムスリムと接する機会は増えると思いますので、必要以上に気を使ったりせず、彼らとのコミュニケーションを楽しんでもらえればと願っております。