京都精華大学(京都市左京区)は「自由自治」を教育理念とした大学。2006年には日本で初めてマンガ学部、2013年にはポピュラーカルチャー学部を開設するなど、既存の枠組みにとらわれない事で有名です。

そんな京都精華大学の学長に2018年4月、西アフリカ・マリ共和国生まれのイスラム教徒(以下、ムスリム)であるウスビ・サコ氏が就任しました。

■ ウスビ・サコ Oussouby SACKO(佐古 ウスビ) プロフィール

1966年5月26日生。マリ共和国出身。中国北京語言大学、南京東南大学を経て来日。京都大学大学院工学研究科建築学専攻博士後期課程修了。工学博士。専門は住居空間や建築計画など。20年以上、京都在住。著書に『知のリテラシー・文化』他。現職は人文学部教授、同学部総合人文学科長 。

 

 

ウスビ・サコ 氏とかねてより交流があった弊会代表の梶川が、新学長就任パーティーにお招きいただき参加してまいりました。

梶川はウスビ・サコ氏自身がムスリムであるので「当日の料理はどう提供されるのか?」に興味があったようです。

 

当日提供された料理には特にハラールマークのような物はありませんでしたが、しっかりと情報開示のマークをメニューに取り入れていました。

 

せっかくの貴重な機会でしたのでウスビ・サコ氏に新学長になられた抱負などをお伺いさせて頂きました。

ウスビ・サコ

 

まず氏が専門に研究されているのは「空間人類学」という学問なのですが・・・なかなか難しい言葉ですね (汗)。

氏は

「現代の日本は、豊かな生活を望んだ結果、コミュニケーションが断絶される空間が増えすぎて孤立している人が多いです。例えば老人の孤独死、介護疲れによるノイローゼ、鬱病やひきこもりといった様々な問題が起きています。これらの問題は人がどのように動くかを把握した空間づくりで改善に向かうのではないか、その因果関係を世の中の仕組みを変える方法に役立てるのが空間人類学なんです。」

とご説明下さいました。

「物で栄えて心が滅ぶ」と昭和の名僧・高田好胤(薬師寺管主)が残した言葉の通り、確かに現代の日本は物質的には豊か過ぎる程に発展してきましたが、人と人との心のつながりという部分では問題が多くなっているようにも感じます。

氏は抱負として

「人種や宗教に関係なく、人はみな違って当たり前。違いを認識しながら共存できる多様性と国際性を育みたい。曖昧さを容認できる心のゆとりを持つ事が大切です。」

と語って下さいました。

 

京都精華大学は大学として「ダイバーシティ推進宣言」を出すなど多文化共生に向けて真摯に取り組まれている大学であり、日本初となるアフリカ系学長の誕生に海外のNYタイムズも取材を行うなど注目が集まっています。

ウスビ・サコ氏の大学学長就任をきっかけに多文化共生への理解が加速し、他の大学や関連団体、また地域などにも良い動きとなって広がれば素敵ですね。

ご就任本当におめでとうございます。