「アッサラームアライクム」

(一社)関西ムスリムインバウンド推進協議会の水谷です。今日はアラビア語で挨拶してみました。

今回は、イスラム教の「断食(サウム)」についてご紹介させていただこうと思います。

というのも今がまさにイスラム教徒の方が「断食」を行う「ラマダン」の期間だからです。

※よく誤解されますが「ラマダン」は暦における「月」の名前であり、「断食(サウム)」はその期間に実践する行動の事です。

太陰暦を採用している関係で毎年ズレが生じる為、2018年は5月16日 ~ 6月14日がラマダンにあたります。

 

ラマダン

ラマダンとは

イスラム教徒が行う約一カ月間の断食と禁欲を奨励する期間。この期間、イスラム教徒は日の出から日没まで飲食、快楽(性行為、喫煙、飲酒)を断ち、神(アッラー)への祈りを捧げます。

ラマダンの意義

個人

飲食を断ち生命に感謝し、禁欲を実践し自制心を養います。また、食事を制限することで、日々自分が生かされているということを再認識し、より深く神に感謝をします。

社会的役割

コミュニティが共通の負荷に耐えることにより結束が深まります。

ラマダンの起源については諸説あり、時代や地域などによってその意義が異なると言われています。一説にはイスラム教は過酷な環境、砂漠で誕生した宗教であり、教徒は必然と過酷な環境に耐えなければなりませんでした。しかし一定数の裕福な人々も存在しており、必然と格差が生じてしまう為、貧富に関係なく皆が平等に苦労を経験する”制度”を設けることによりコミュニティの安定を図ろうとしたとも言われています。

 

在日ムスリムの過ごし方

実際にムスリム(イスラム教徒)の方はラマダン中、どういった一日を過ごすのでしょうか?今回は私の同僚・アリ君(バングラデッシュ人ムスリム)の一日をご紹介いたします。

02:00 朝ごはん(サフール)

02:50 お祈り

03:10 就寝

05:00 起床、お祈り

06:00 出勤

– 勤務 –

12:00 お祈り

– 勤務 –

15:15 お祈り

– 勤務 –

18:40 お祈り

友人達と晩ご飯 or 自炊(麺類が多め)

20:30 お祈り、就寝

 

一般に断食というと、日の出から日没までなので朝6時以降からスタートと思っていたのですが、実際には朝3時から飲まず食わずが始まっているというのには驚きました。

ラマダンはイスラム教徒にとって他の期間よりも大切な期間であり、お祈りにもより一層力を入れられるそうです。

アリ君が日本で生活を始めた当初は周囲の理解を得るのが難しく、礼拝をする事が仕事をサボっていると誤解をされ、肩身の狭い思いをした事もあったそうですが、毎日続けていくうちに周囲の誤解も解け、今ではそれを認めてくれるようになったそうです。

アリ君が断食の目的などについて話をしてくれました。

「断食の目的は単に断食することではなく自制心を養うこと。禁欲の勧め、簡単に言うとエンターテインメントの否定です。そのため断食中は飲食、性行為、音楽、たばこ、ダンスをすることは避けなければなりません。」

アリ君によるとバングラディッシュの国民はとにかく踊りが大好き。そのため、ダンスも彼らにとっては快楽とされる為、自制心を鍛えるためには制限されるべき事なのだそうです。

 

ムスリムではない私達に出来ること

イスラム教徒のラマダン、断食についてご紹介させていただきましたがいかがでしたでしょうか?

日本ではまだまだ馴染みのない彼らの習慣ですが、生活の場で彼らと接する方も徐々に増えてきたのではないでしょうか?

そんな私達がこの期間中に出来る事は何なのか・・・

私が経験した中で感じた事は

「理解して配慮すること」

ただ、それだけです。

私達も一緒になって無理に断食をする必要はありません。

彼らがどういった心持ちでラマダンを過ごしているかを理解しようと努め、尊重する事が大切です。

断食中の彼らの目の前でこれ見よがしに水を一気に飲み干したり、ランチに誘うなどという行為はエチケットのひとつとして慎むようにしてあげるのが好ましいのではないでしょうか?

 

あとがき

実は私も断食を1週間ほど続けたことがあるのですが正直に言うと辛かったです。何が辛いかというと本当に時間がなかなか経ちません(泣)。 時間をつぶすために、人と沢山お話しをしたのを覚えています。(笑) ラマダン中だからといって話しかけてはいけないという事はありませんので、皆さんも気軽にムスリムの方に話しかけてみてください。